Let's try Jazz Piano
裏コードをマスターする!!
このコーナーでは、裏コードの話をします。
だいぶ、内容がJazzらしくなってきましたねー。
とは言え、コードもテンションも裏コードも。Jazzに限った話ではありません。
いずれも、ポップミュージックでも使われている理論、テクニックなんですね。
ポップスを効率よく理解し発展させるために、編み出された方法論。
それが、結果的にJazzの理解と発展にとても大きく寄与した。と、菊池成孔さんの本に書いていました。笑。
今はJazzの名門とされているバークリー音楽大学も、本当はポピュラー音楽を専門に教育する音楽院なんですね。
と、余談はさておき。
裏コードの話をしましょう。
裏コードとは、コードの置換方法です。
元々の原曲にあるコード進行を、裏コードに置き換えたり、裏コードを挟み込むことによって、Jazzらしいコード展開を作ることができ、曲の流れにアクセントをつけることができます。
では、具体的に。Circle of 5thを思い出しましょう。

裏コードは、Circle of 5thの中に込められている魔法の1つを使います。
裏コードは、このCricle of 5thの180度反対側のコードを指します。
例えば、Cの裏コードはG♭、Gの裏コードはD♭ということになります。
そして、裏コードは、Ⅴ7-Ⅰというコード展開の時に利用します。
ちなみに、Ⅴ7-Ⅰのコード進行のことをドミナントモーションと言います。また、Ⅰの前にあるⅤ7のことをドミナントセブンと言います。
では、これまでひつこくやってきたⅡm7-Ⅴ7-Ⅰ△7で説明しましょう。
Ⅱm7-Ⅴ7-Ⅰ△7のⅤ7の和音を裏コードに置き換える。または、Ⅴ7-Ⅰ△7の間に裏コードを挟みこんでみます。
Dm7-G7-C△7を例に挙げます。
これを、オープンボイシングで弾くと、

でしたね。
このG7の代わりに、裏コードを使うと、

と、こうなります。
では、次にⅤ7-Ⅰ△7の間に裏コードを挟みこんでみます。

と、こうなります。
どうでしょう。どちらも、Jazzyな展開に感じませんか?
これを実際の曲に挟み込んで使えるようになれば、裏コードマスターです!笑。
では、これまで例に挙げてきたOver the Rainbowで裏コードを使ってみましょう。

これが、Over the Rainbowをオープンボイシングで、かつテンションを加えながら演奏する時の譜面でしたね。
この4小節目と5小節目に注目してください。
コード進行は、Gm7-C7-Fm7となっていますね。
この進行、Fを基準として考えてみてください。
Ⅱm7-Ⅴ7-Ⅰm7となっている。つまり、C7はFからみるとドミナントなんですね。って、こんな風に専門用語ちっくに説明すると、なんか頭良くなった気がしますね。笑。
でも、言ってる内容は大したことじゃないです。ただ、Ⅴ7-Ⅰがあるよねー、って言ってるだけ。笑。
なので、このコード展開のドミナント7であるC7とFm7の間に、C7の裏コードであるG♭7を挟み込んでみましょう。

どうでしょう?
テンションを入れただけでもJazzっぽくなったと思いますが、裏コードを挟み込むとなんか、さらにプロっぽくなるでしょう?笑。
何でこんなことができるのか?
裏コードの理屈を簡単に説明します。
元々のコードC7の1度はド、7度はシ♭、3度はミですよね。
C7の裏コードであるG♭7の1度はソ♭、7度はミ、3度はシ♭ですね。
それぞれの3度と7度に注目してください。
3度と7度がひっくりかえってますが、同じ構成音なんです。
つまり、C7とG♭7は、和音の構成音である3度と7度が同じ音なんですね。だから、近い響きになる。
さらにG♭7の1度であるソ♭は、その次にくるⅠであるFの1度、ファの半音上ですよね。
経過音として、狙いの音の半音上または下の音を挟むことを、クロマチックアプローチと言います。
つまり、裏コードに置換したり、裏コードを挟み込むことで、元の和音に近い響きを残しながら、クロマチックアプローチでⅠに辿りつけるんですね。
え?ついて行けない??ややこしい???
すみません。コンセプトを忘れてました。シンプルかつ実践的に。でした。
こんな理屈はどうでもいいです。
ただ、裏コードを使ってみて、Jazzっぽい展開をガッテンできたら十分です。
そして、これも体に覚えこませて、即興で使えるようにしてゆくことが望まれます。
どうやって、体で覚えるか。
お決まりの筋トレです。Circle of 5thを使いましょう。
せっかくなので、テンション込みのⅡm7-Ⅴ7-Ⅰ△7のⅤ7-Ⅰ△7の間に裏コードを挟みこむコード展開。

こんな感じで、Circle of 5thを一周できるようにしましょう。
また、いちいち裏コードを探す必要があるので、最初は大変かもしれません。
でも、1度体で覚えてしまうと、Ⅴを感じた時に、自然と裏コードを経由してⅠに移動したくなるあなたがいるはずです。笑。
そして、この辺りまでマスターしてくると、コード譜をかなりJazzyにアレンジできるようになっているはずです。
裏コ ードの説明は以上になります。